こんにちは!りけーこっとんです。

普段、このブログでは小学生や中学生に向けたScratchやRobloxのプログラミング教育に関する情報を発信していますが、今回は少し趣向を変えて、私自身の大人の学び直しについてお話しさせてください。

実は現在、データドリブンな文化を広める伝道師「DATA Saber」を目指し、Apprentice(見習い)として試練に挑戦しています。

日々の銀行向けのIT・AIコンサルティング業務の中でもデータは扱いますが、Tableauを使った本格的なデータ可視化はまた別の奥深さがあります。

そして先日、第2の関門である「Ord2」の課題に取り組み始めたのですが……正直に言います。
ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けました。

りけーこっとん
りけーこっとん
Tableauの使い方を覚えて、綺麗なグラフを作るだけでしょ?

そんな軽い気持ちで挑んだ私の「デザインの常識」が、見事に粉々に破壊された体験と、そこからの気づきを赤裸々に共有したいと思います。

今、まさにOrd2の壁にぶつかって戸惑っているApprenticeの皆さん、そして「データを使って何かを伝えたい」と思っているすべての方の参考になれば嬉しいです。

グラフを作成だけではない戸惑いと希望

DATA Saberの試練が始まり、Ord1でTableauの基本的な操作に触れ、「なるほど、こうやってデータを繋いで可視化していくのか」と少し自信をつけて迎えたOrd2。

しかし、課題を開いてすぐに手が止まりました。
ツールの操作方法のテストではなく、「どうすればデータが人の心に正しく、速く伝わるか」という、極めて抽象的かつ本質的な問いだったからです。

普段の業務で、私はExcelやPowerPointを使って毎日のように資料を作成しています。

それなりに「見栄えの良いグラフ」を作る自信はありました。
しかし、Ord2で問われているのは「見栄え」ではありませんでした。

  • 「なぜこのグラフでなければならないのか?」
  • 「なぜこの色を使ったのか?」
  • 「この表現は、本当にユーザーのためになっているのか?」

今までコンサルティング業務で先輩社員から指導いただいた、「パワポの作り方」と似ていて本質的なことを問われていると思いました。

一方で「Data Saberは、ただのツール学習ではない、データドリブン文化を醸成する本質的な学びが得られそうだ」と、お客様にデータ活用文化の醸成を実施している身としては非常に多くの学びを得られる期待もあふれてきたのです。

分かりやすさは「認知負荷」を下げること

戸惑う私を救ってくれたのが、DATA Saberプログラムにおける羅針盤とも言える「KT Channel」の動画でした。

そこで解説されていた『Visual Best Practice』という概念。これこそが、私の常識を破壊した張本人であり、同時にデータ可視化の真髄でした。

動画の中で何度も語られていたのは、人間が生まれながらに持っている視覚特性を利用し、「いかにして見る人の認知負荷を下げるか」という徹底したユーザーファーストの姿勢でした。

Preattentive Attributes(前注意的特性)の衝撃

特に衝撃を受けたのが「Preattentive Attributes」という言葉です。

これは、人間が意識を向ける前に、脳が視覚的に「0.25秒以内」で瞬時に処理してしまう情報のこと。
色、サイズ、形状、位置、方向などがこれに当たります。

例えば、無数の数字が並んだ表の中から「9」という数字を探すのは時間がかかりますが、「9」だけが赤色になっていれば、一瞬で見つけることができますよね。

動画内では様々な効果を実演しながら解説されているため分かりやすく、スッと頭に入ってきました。

引き算の美学

もう一つ、私の胸に深く突き刺さったのが、視覚属性は「多用厳禁」であるという教えです。

Preattentive Attributesは非常に強力ですが、あれもこれもと詰め込みすぎると効果が倍増するわけではなく、ただの「ごちゃごちゃしたチャート」になってしまいます。

動画の中で特にハッとさせられたのが、以下のような「意味のない要素」を排除することの重要性でした。

  • 多すぎる色数:
    10色を超えるような無駄な多色使いは、脳が識別できず意味を成しません。
  • 意味のない二重強調(ダブル掛け):
    すでに棒グラフの軸(位置)で項目が分かれているのに、わざわざそれぞれの棒を違う色で塗る行為は無意味です。
  • 乱れた背景色:
    背景の色が統一されていないことで、本来同じはずの色が違う色に見えてしまう視覚のノイズ。

これらはすべてユーザーの認知負荷を上げるだけの不要な要素だというのです。

「すでに位置で分かっているなら、色までつける必要はない」
「意味がないなら入れない」。

この徹底した引き算の姿勢が、データ可視化においていかに重要かを痛感させられました。

チャートには「科学的な理由」があった

この動画を見る前の私は、なんとなく「時系列の変化なら折れ線グラフ」「量の比較なら棒グラフ」といったように、これまでの経験や感覚だけでグラフの種類を選んでいました。

しかし、KT Channelの動画「DATA Saber Boot Camp Week2 “Visual Best Practice”」の後半の解説を見て、そのチャート選びには「人間の脳の認知負荷を減らす」という明確な科学的理由があることを知り、衝撃を受けました。

ここからは、動画で語られていた真の可視化のルールを詳しく解説します。

データタイプと視覚属性の「相性」

動画の中で特に重要だと感じたのが、「データには3つのタイプがあり、それぞれ相性の良いPreattentive Attributes(視覚属性)がある」という解説です。

  • 分類的な名義(カテゴリ名など):
    「形状」や「色相(赤、青などの色の違い)」でスパッと区切る。
  • 量的なもの(売上などの数値):
    「位置」や「長さ」、「サイズ」、「色の彩度(濃淡)」で大小を表現する。
  • 順序的な名義(金銀銅や日付など):
    「位置」や「色の彩度」で順序や流れを表す。

イメージしやすいチャートの組み合わせ

データの目的に応じて、人間の脳が直感的に理解しやすいチャートは決まっています。

  • 時間:折れ線グラフ)
  • 比較:棒グラフ
  • 相対的割合:ツリーマップ(面積で比較しやすく、円グラフよりも文字が入れやすい)

Preattentive Attributesの「強さの順序」を意識する

動画の中で非常に興味深かったのが、Preattentive Attributesには「強さ(強度)」の順序があるという点です。

具体的には、人間の脳にとって「位置」が最も強いインパクトを持ち、「形状」が最も弱いという明確な力関係があります。

  1. 位置
  2. サイズ
  3. 形状

この事実を知り、これからはグラフを作成する際、ただ闇雲に視覚属性を使うのではなく、「一番伝えたい重要な指標に、最も強い属性を割り当てる」というように、Preattentive Attributesの強さの順も意識しながらデザインしようと強く思いました。

まだまだ研究中の分野でもあるようなので、動画でも触れられていない特徴があるかもしれませんね!

Preattentive Attributesは「多用厳禁」

視覚属性は非常に強力ですが、動画では「多用厳禁」と強く語られています。
あれもこれもと詰め込みすぎると「ごちゃごちゃチャート」になってしまいます。

特に「色」の使い方については厳密なルールがあります。

  • 色数は絞る:
    10色を超えると脳は違いを認識できず意味を成しません。
    できれば6色程度に抑えることで、初めてデータの中にパターンを見出すことができます。
  • 意味のない二重強調を避ける:
    すでに棒グラフの軸で項目が分かれているなら、それぞれの棒に違う色を塗る必要はありません。
    色を使うなら、「赤字になっている項目」など、別の新しいインサイト(利益など)を示すために使うべきです。

これらの解説を見て、自分のこれまでの「なんとなくのチャート選び」が、場合によってはユーザーの認知負荷を上げるノイズになっていた可能性があると気づきました。

データ可視化はアートではなく、人間の視覚の法則に基づいたサイエンスなのだと深く腹落ちした瞬間です。

子ども向けプログラミング教育との意外な共通点

そして、この「Visual Best Practice」の概念を深く学んでいくうちに、あることに気がつきました。

りけーこっとん
りけーこっとん
これ、ScratchやRobloxでの子どもたちのゲーム作りと似てる!

私が普段教えているプログラミングの世界でも、「ユーザー(遊ぶ人)の認知負荷を下げる」ことは極めて重要です。

  • 直感的なUI(ユーザーインターフェース):
    どこをクリックすればゲームがスタートするのか、パッと見で(Preattentive Attributesを利用して)わかるデザインにする。
  • ノイズの排除:
    画面上に無駄なキャラクターや派手すぎる背景(低いデータインク比)を置くと、プレイヤーは何に集中すればいいのかわからなくなってしまいます。

特に、小学生以下の子どもたちは大人よりも直感的です。
ルールが複雑だったり、画面がごちゃごちゃして「認知負荷」が高いゲームは、すぐに飽きて離脱してしまいます。

Tableauのデータ可視化と、子ども向けのゲームプログラミング。
一見まったく違う分野に見えますが、「人間の認知特性を理解し、使い手に寄り添った体験をデザインするという本質は一致しているように思いました。

Ord2での大人の学び直しが、まさか自分のライフワークであるプログラミング教育の質を上げるヒントに繋がるとは、思ってもみない副産物でした。

おわりに

DATA SaberのOrd2は、単にTableauの機能を覚えるための課題ではありませんでした。

それは、私の中に凝り固まっていた「デザインの常識」を一度破壊し、「データを通じて人とコミュニケーションをとるためのマインドセット」を再構築するための試練でした。

もし今、あなたがOrd2の課題の前で「ただのグラフ作成じゃないの?」と途方に暮れているなら、ぜひもう一度、KT Channelの動画を「手法」ではなく「相手への思いやり(認知負荷の軽減)」という視点で見てみてください。

きっと、目の前の霧が晴れるような感覚を味わえるはずです。

まだまだApprenticeとしての旅は続きますが、この「Visual Best Practice」という強力な武器(と思想)を手に入れた今、次の試練が楽しみで仕方ありません。

共にDATA Saberを目指す仲間の皆さん、そして、これからデータの世界に飛び込もうとしている皆さん。

ツールに使われるのではなく、ツールを使って「人間の心を動かす」表現を目指して、一緒に学びを深めていきましょう!

ABOUT ME
りけーこっとん
小学生と関わり始めて、10年。最初は学童アルバイト、現在は小学生向けにプログラミングを教えています!日々、小学生のプログラミングに関する情報の発信をしています。小学生のお子さんがいて、プログラミングに興味のある親御さん・お子さん必見です!