どーも、りけーこっとんです。

「PoCって、普通のプロジェクトと何が違うの?」「CRISP-DMの6つの工程、順番が覚えられない」

このような、G検定のAIプロジェクトの範囲で迷っている方はいないでしょうか?

この記事では、AIプロジェクトの全体の流れ(構想・PoC・開発・運用)と、データ分析の進め方の型であるCRISP-DM、運用まで考えたMLOps、さらにBPRやクラウド・Web APIまで解説します。

(2026年10月更新:G検定の現行シラバス(2024年第6回から適用)に合わせて内容を見直しました。)

この記事の要点

  • AIプロジェクトは「構想・企画→PoC→開発・実装→運用」の流れで進めるのが基本
  • PoCとは、本格的に開発する前に、小さく試して本当に使えるかを確かめる「概念実証」のこと
  • CRISP-DMはデータ分析の進め方の型で、ビジネスの理解からデータの理解・準備、モデル作成、評価、展開の6つの工程を行ったり来たりする
  • MLOpsは、機械学習のモデルを本番で動かし続けるための、開発と運用をつなぐ仕組みや考え方

手元に公式テキストが1冊あると、この記事で扱う用語をシラバスの言葉づかいのまま確かめられます。

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版

JDLA(日本ディープラーニング協会)監修の公式テキスト。用語の意味を正確に確かめたいときの辞書がわりになります。

この記事は、現行シラバスでは第7章「AIの社会実装に向けて」の「AIプロジェクトの進め方」の範囲です(シラバスはJDLAの公式ページで確認できます)。G検定の範囲全体を一覧で見たい方はG検定チートシートもどうぞ。

この記事では、文字の装飾を次の3段階にそろえています。試験直前は赤太字だけ拾い読みしても要点がつかめます。

  • 赤太字(超重要):試験で正解を決める決め手。年号・人物・数字・違いのポイント
  • 青色マーカー+太字(重要):用語の定義。「〇〇とは」の一文
  • 太字(覚えておきたい):あわせて覚えたい関連用語や覚え方

AIプロジェクトの進め方(全体像)

AIプロジェクトの進め方とは、AIを使って新しい価値を生み出すために、構想・企画からPoC、開発・実装、運用までを段階的に進めていく流れのことです。

AIは流行っていて便利ですが、プロジェクトの進め方を間違えると、多額のお金をかけたAIが使われずに終わってしまうこともあります。

AIプロジェクトの全体像は、次のようになっています。

AIプロジェクトの全体像。構想・企画、PoC、開発・実装、運用の流れ
段階 やること
構想・企画 何を解決したいのか、AIで解決できそうか、データはあるか、予算や責任の所在を考える
PoC 小さく試して、AIが本当に使えるかを確かめる
開発・実装 PoCの結果をもとに、本番で使うAIを作って導入する
運用 AIを安定して動かし続け、精度が落ちていないか見守る

一般的なシステムのプロジェクトと大きく違うのは、作ってみないと精度が分からないことと、運用中にもデータを集め続けることです。

AIは良くも悪くもデータが命なので、運用を続けるうちに世の中の傾向が変わると、予測の精度が落ちていくことがあります。

実装したら終わりではなく、AIがきちんと機能しているかを見続けることが大切なんですね。

PoC(概念実証)とは

PoCとは、本格的に開発する前に、小さな規模でAIを試作して、本当に課題の解決に使えるかを確かめることです。

Proof of Conceptの略で、日本語では「概念実証」と言います。PoCでは、主に次のことを確かめます。

  • 必要なデータがあるか、量や質は十分か
  • 簡単な試作品(モックアップ)を作って、AIが期待通りに動くか
  • 現場の業務で使えそうか、費用に見合う効果があるか

AIは、実際に現場で使えるかどうかは試してみないと分からないことが多いです。

なので、いきなり大きなお金をかけて開発するのではなく、まず小さく試すことが重要なんですね。

あくまで実証実験なので、細かく作り込むより、スピーディーに試すことがポイントです。

ただし、PoCを何度も繰り返すだけで本番の開発に進まない「PoC疲れ」「PoC死」に陥ることもあります。(現場ではめちゃくちゃ聞きますね)

PoCの前に「どんな結果が出たら次に進むか」の基準を決めておくのが大切です。
PoCの段階の契約についてはAI開発の契約の記事で解説しています。

ウォーターフォールとアジャイル

システム開発の進め方には、大きく次の2つがあります。

ウォーターフォールとは、要件定義・設計・開発・テストなどの工程を、上から下へ水が流れるように順番に進め、原則として前の工程に戻らない開発の進め方です。

アジャイルとは、短い期間で「作る→試す→直す」を何度も繰り返しながら、少しずつ機能を作り上げていく開発の進め方です。

比べるところ ウォーターフォール アジャイル
進め方 工程を順番に、一度だけ進める 短い期間で作る・試す・直すを繰り返す
向いている場面 作るものが最初からはっきり決まっている 作りながら中身を決めていく
変更への対応 途中の変更が難しい 変更に柔軟に対応できる

AIの開発は、作ってみないと精度が分からず、データを見ながら方針を変えることも多いので、アジャイルのような繰り返す進め方と相性が良いと言われています。

CRISP-DMとCRISP-ML

CRISP-DMとは

CRISP-DMとは、データ分析のプロジェクトをどのように進めるかをまとめた、業界を問わず使える標準的な進め方の型です。

Cross-Industry Standard Process for Data Miningの略で、1990年代の終わりに作られました。行うことは、次の6つの工程です。

  1. ビジネスの理解:ビジネスの課題や目的を理解する
  2. データの理解:どんなデータがあるかを調べる
  3. データの準備:分析に使えるようにデータを整える
  4. モデリング:モデルを作る
  5. 評価:モデルがビジネスの目的に合っているか評価する
  6. 展開:結果を現場で使えるようにする(共有する)

それぞれの関係は、次の図のようになっています。

CRISP-DMの6つの工程の関係図。ビジネスの理解からデータの理解・準備、モデリング、評価、展開へ進み、必要に応じて前の工程に戻る

このように、一度モデルを作って評価したら終わりではありません。
うまくいかなければ、最初の「ビジネスの理解」まで戻ってやり直すこともあります。

このやり直し・繰り返しが、データ分析ではとても大事なんですね。りけーこっとんの実感でも、時間の大半は「データの理解」と「データの準備」にかかります。

CRISP-MLとは

CRISP-MLとは、CRISP-DMをもとに、機械学習のプロジェクト向けに、品質の確認や運用中の監視(モニタリング)の工程を加えた進め方の型です。

CRISP-DMはデータ分析が中心で、モデルを本番で動かし続けることまではあまり考えられていませんでした。

CRISP-MLは、各工程で品質を確認することと、運用中にモデルの精度を見守って必要なら作り直すことまでを、進め方に組み込んでいます。

MLOpsとは

MLOpsとは、機械学習のモデルを本番の環境で動かし、監視・改善し続けるまでの一連の流れを、効率よく回すための仕組みや考え方のことです。

Machine Learning Operationsの略です。

ソフトウェア開発で、開発(Development)と運用(Operations)をつなげて素早く改善を回す考え方をDevOpsと言います。

MLOpsは、これを機械学習に当てはめたものです。イメージは次の通りです。

MLOpsのイメージ。データ収集、学習、デプロイ、監視を繰り返す

機械学習のモデルは、一度本番で使い始めたら終わりではありません。時間がたつと、データの傾向が変わって精度が落ちることがあります。

そこでMLOpsでは、次のような流れを自動化・仕組み化して、繰り返し回せるようにします。

  • データを集めて、モデルを学習する
  • 学習したモデルを本番の環境に入れる(デプロイ)
  • 本番での精度やデータの変化を監視する
  • 精度が落ちたら、新しいデータで学習し直して入れ替える

G検定では「運用まで含めて回し続ける」点がDevOpsとの違いとして問われます。

G検定の勉強で身につけた知識は、データ分析やAI関連の仕事でそのまま使う土台になります。データ系の求人は職種名がバラバラで自分では探しにくいので、どんな求人があるのかを一度眺めておくと、次に学ぶべきことがはっきりしてきます。

BPRとは

BPRとは、今の業務の進め方を根本から見直して、業務の内容・組織・システムを作り直すことです。Business Process Re-engineeringの略です。

「業務改善のことでしょ?」と思った方は、少し違うかもしれません。

  • 業務改善:部署ごとに、業務の一部の無駄をなくす
  • BPR:会社全体の業務の流れを見直して、大きく作り直す

AIを入れるときも、今の業務の一部をそのままAIに置き換えるだけでは、効果が小さいことがあります。

AIを前提に業務の流れそのものを作り直すと、大きな効果が出ることがあるんですね。

ただし、会社全体が大きく変わるので、組織が混乱したり、たくさんの費用がかかったりという難しさもあります。

クラウドとWeb API

クラウドとは

クラウドとは、データを保存する場所や計算するためのコンピュータの力を、インターネットを通じてサービスとして利用できる仕組みのことです。

ふつう、コンピュータの力を使うには、パソコンやサーバー、ネットワークなどの設備(インフラ)や、OSなどのソフトを自分でそろえる必要があります。でも、パソコンにあまり詳しくない人が全部をそろえるのは大変ですよね。クラウドは「面倒な準備は全部やっておいたので、あとは使うだけ!」というサービスです。

身近な例では、iCloudやOneDriveに写真を保存するのもクラウドですね。AIの開発では、高価なGPUを自分で買わなくても、クラウドで必要なときに必要なだけ借りて学習させられるのが大きなメリットです。

Web APIとは

Web APIとは、あるソフトやサービスの機能を、インターネットを通じてほかのプログラムから呼び出して使えるようにした仕組みのことです。APIはApplication Programming Interfaceの略です。

例えば、お店のWebサイトにGoogleマップの地図が表示されていることがありますよね。Webサイトの中でGoogleマップのアプリを開いているわけではないのに、地図を操作できます。これは、Googleマップの機能をWeb APIで呼び出しているからです。

AIでも、画像認識や翻訳、文章生成などのAIの機能をWeb APIで提供するサービスがたくさんあります。自分でAIを一から作らなくても、Web APIを呼び出すだけでAIの機能を使えるんですね。

データサイエンティストとステークホルダーのニーズ

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、データを使ってビジネスの課題を見つけ、分析やAIで解決する仕事をする人のことです。りけーこっとんの本業でもあります。データサイエンティストの仕事の範囲は広く、次のようなものがあります。

  • ビジネスの課題を見つけて、解決の方針を考える
  • データを集めて、分析できる形に整える
  • データを分析したり、AIのモデルを作ったりする
  • 結果を現場に伝え、システムとして使えるようにする

ステークホルダーのニーズとは

ステークホルダーのニーズとは、プロジェクトに関わる人たち(経営者、現場の担当者、利用者、取引先など)が、それぞれ求めていることのことです。

AIプロジェクトでは、経営者は「費用に見合う効果」、現場の担当者は「使いやすさ」、利用者は「安心・安全」を求める、というように、立場によって求めることが違います。データサイエンティストは、技術だけでなく、関わる人たちのニーズをくみ取って調整する役割も大切なんですね。

なお、個人情報を扱うシステムを作るときは、最初の段階からプライバシーの保護を組み込む「プライバシー・バイ・デザイン」の考え方も大事です。プライバシー・バイ・デザインの記事で解説しています。

G検定での問われ方|AIプロジェクトの進め方の早見表

現行シラバスの「AIプロジェクトの進め方」のキーワードは、次の表ですべて確認できます。この記事で扱っていない用語は、リンク先の記事で解説しています。

用語 一言でいうと 詳しい解説
AIのビジネス活用 AIの導入そのものではなく、経営課題の解決や利益の創出につなげること 解説記事
AIプロジェクトの進め方 構想→PoC→開発→運用の順で、何度も見直しながら進めるのが基本 この記事
BPR 業務の流れ(ビジネスプロセス)を根本から見直して作り直すこと この記事
CRISP-DM データ分析プロジェクトの標準プロセス。ビジネス理解→データ理解→データ準備→モデリング→評価→展開 この記事
CRISP-ML CRISP-DMを機械学習向けに拡張し、品質保証や運用・監視まで含めたプロセス この記事
Docker アプリと実行環境をまとめて「コンテナ」にし、どこでも同じように動かせる仕組み 解説記事
Jupyter Notebook コードを少しずつ実行して結果を確かめながら書ける、対話型の開発環境 解説記事
MLOps 機械学習モデルの開発から運用・監視までを継続的に回すための仕組み・考え方 この記事
PoC 本格開発の前に、小さく試して実現できるかを確かめること(概念実証) この記事
Python AI・データ分析で主流のプログラミング言語。ライブラリが豊富 解説記事
Web API インターネット経由で外部の機能を呼び出すための窓口 この記事
アジャイル 短い期間で作って確かめることを繰り返し、変化に合わせて進める開発手法 この記事
ウォーターフォール 要件定義→設計→開発→テストを順番に進め、原則として前に戻らない開発手法 この記事
オープン・イノベーション 社外の技術やアイデア、データを取り入れて新しい価値を生み出すこと 解説記事
クラウド インターネット経由で、計算資源やサービスを必要な分だけ使う仕組み この記事
産学連携 企業と大学が協力して研究開発を進めること 解説記事
ステークホルダーのニーズ 利用者や社会など関係者の要求。これを踏まえてAIを開発・運用する必要がある この記事
データサイエンティスト ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力でデータから価値を生む人材 この記事
他企業や他業種との連携 自社にないデータや技術を、他の企業や業種と組んで補い合うこと 解説記事

よくある質問

Q. PoCで終わってしまう「PoC死」とは?

PoC(小さな試作での検証)を何度も繰り返すばかりで、本番の開発や導入に進めない状態のことです。PoCの目的や「どんな結果なら次に進むか」の基準を最初に決めておかないと起こりやすくなります。

Q. CRISP-DMの6工程は?

ビジネスの理解、データの理解、データの準備、モデリング、評価、展開の6つです。一方向に進むだけでなく、うまくいかなければ前の工程に戻って繰り返すのが特徴です。

Q. MLOpsとDevOpsの違いは?

DevOpsは、ソフトウェアの開発と運用をつなげて素早く改善を回す考え方です。MLOpsは、これを機械学習に当てはめたもので、データの変化による精度の低下を監視し、学習し直してモデルを入れ替えるところまでを含めて回し続けます。

よくある質問の内容までスラスラ答えられたら、次は問題形式で解いてみるのがおすすめです。選択肢を見比べると、どこで引っかけられるのかが分かってきます。

徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集 第3版

分野ごとの問題と解説がまとまった問題集。記事で覚えた用語を、本番と同じ選択式で解いて確かめられます。

まとめ

  • AIプロジェクトは構想・企画→PoC→開発・実装→運用の流れ。運用中もデータを集めて精度を見守る
  • PoCは小さく試して使えるかを確かめる概念実証。スピーディーに行い、PoC死に注意
  • ウォーターフォールは順番に一度だけ、アジャイルは短い期間で繰り返す。AIはアジャイルと相性が良い
  • CRISP-DMはデータ分析の6工程の型、CRISP-MLは品質確認と監視を加えたもの、MLOpsは運用まで回し続ける仕組み
  • BPRは業務を根本から作り直すこと。クラウドとWeb APIで、AIの機能を手軽に使える

次回は、AIの学習データを集めるときに必ず関わる法律、個人情報保護法と著作権法を匿名加工情報と著作権の記事で解説していきます。

G検定の試験範囲をまとめて見直したい方は、シラバスの全キーワードを一行でまとめたG検定チートシートをどうぞ。分野ごとに読み進めたい方はG検定の解説記事一覧からどうぞ。

お子さんと一緒にAIを学びたい方には、親子で生成AIの使い方を学べる講座もあります。

G検定の勉強で身につけた知識は、データ分析やAI関連の仕事でそのまま使う土台になります。データ系の求人は職種名がバラバラで自分では探しにくいので、どんな求人があるのかを一度眺めておくと、次に学ぶべきことがはっきりしてきます。

20代で未経験からIT職を目指す方、すでに経験があってフリーランスの案件を探したい方は、それぞれ専門のサービスを使うと探す手間が省けます。

ABOUT ME
りけーこっとん
小学生と関わり始めて、10年。最初は学童アルバイト、現在は小学生向けにプログラミングを教えています!日々、小学生のプログラミングに関する情報の発信をしています。小学生のお子さんがいて、プログラミングに興味のある親御さん・お子さん必見です!