どーも、りけーこっとんです。

「匿名加工情報と仮名加工情報、何が違うの?」「AIの学習に、ネット上の画像や文章を勝手に使ってもいいの?」

このような、G検定の法律の範囲で不安になっている方はいないでしょうか?

この記事では、AIの学習データを集めるときに必ず関わる2つの法律、個人情報保護法と著作権法を解説します。

個人情報の種類や匿名加工情報・仮名加工情報の違い、EUのGDPR、AIの学習と著作権の関係(著作権法30条の4)、AIが作ったものの著作権まで、比較表で整理しました。

法律は改正が続くので、最新の内容は条文や公式資料でも確認してください。

(2026年10月更新:G検定の現行シラバス(2024年第6回から適用)に合わせて内容を見直しました。)

この記事の要点

  • 個人情報とは、生きている個人に関する情報で、氏名や生年月日などからその人が誰かを特定できるもの
  • 匿名加工情報は元に戻せないように加工した情報で、本人の同意なく第三者に提供できる。仮名加工情報は照らし合わせれば元に戻せる情報で、主に社内の分析用
  • 著作権法30条の4により、AIの学習(情報解析)のための著作物の利用は、原則として著作権者の許可なくできる
  • AIが自動で作ったものは、人の創作的な関わりがなければ著作物にあたらない(著作権が発生しない)と考えられている

手元に公式テキストが1冊あると、この記事で扱う用語をシラバスの言葉づかいのまま確かめられます。

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版

JDLA(日本ディープラーニング協会)監修の公式テキスト。用語の意味を正確に確かめたいときの辞書がわりになります。

この記事は、現行シラバスでは第9章「個人情報保護法」「著作権法」、第7章「データの収集・加工・分析・学習」の範囲です(シラバスはJDLAの公式ページで確認できます)。G検定の範囲全体を一覧で見たい方はG検定チートシートもどうぞ。

この記事では、文字の装飾を次の3段階にそろえています。試験直前は赤太字だけ拾い読みしても要点がつかめます。

  • 赤太字(超重要):試験で正解を決める決め手。年号・人物・数字・違いのポイント
  • 青色マーカー+太字(重要):用語の定義。「〇〇とは」の一文
  • 太字(覚えておきたい):あわせて覚えたい関連用語や覚え方

個人情報保護法の基本

個人情報保護法とは、個人情報を扱う事業者が守るべきルールを定めた法律です。個人情報を法律に沿ってきちんと扱いましょうね、ということです。

AIの学習には大量のデータが必要ですが、その中に個人情報が含まれることもよくあります。

知らずに法律に違反しないように、言葉の意味から押さえていきましょう。

なお、個人情報保護法は時代に合わせて何度も改正されています(2015年の改正で匿名加工情報、2020年の改正で仮名加工情報ができました)。

個人情報と個人識別符号

個人情報とは、生きている個人に関する情報で、氏名や生年月日などから、その情報が誰のものかを特定できるもののことです。

ほかの情報と簡単に照らし合わせることで誰か分かるものも含まれます。

例えば、社員番号だけでは誰か分かりませんが、社員名簿と照らし合わせれば分かるなら個人情報になります。

個人識別符号とは、それだけで特定の個人を識別できる文字や番号、記号のことで、それ単体でも個人情報になります。

例えば次のようなものです。

  • 体の特徴をデータにしたもの:指紋、顔認証のデータ、DNAの配列など
  • 個人に割り当てられた番号:マイナンバー、パスポートの番号、運転免許証の番号など

個人データと保有個人データ

個人情報は、どう管理されているかによって、呼び方と守るべきルールが変わります。

呼び方 意味
個人情報 生きている個人を特定できる情報(一番広い)
個人データ 検索できるように整理されたデータベースの中の個人情報
保有個人データ 個人データのうち、事業者が開示・訂正・削除などをする権限を持つもの

保有個人データについては、本人から「自分のデータを見せて」「消して」と求められたときに、事業者が対応する義務があります。

利用目的・第三者提供・委託

利用目的とは、事業者が個人情報を何に使うのかという目的のことで、できるだけ具体的に決めて、本人に知らせるか公表する必要があります。

決めた利用目的の範囲を超えて使うときは、原則として本人の同意が必要です。

例えば「地図を作るため」に集めた位置情報を、勝手に「AIの開発」に使うことはできないんですね。

第三者提供とは、事業者が持っている個人データを、ほかの会社などの第三者に渡すことで、原則として本人の同意が必要です。

一方、データの分析作業をほかの会社に頼むときのように、個人データの取り扱いを外部に任せることを委託と言います。

 

委託は第三者提供にはあたらないので、本人の同意は要りませんが、委託先をきちんと監督する義務があります。

要配慮個人情報とは

要配慮個人情報とは、本人への不当な差別や偏見につながるおそれがあるため、特に注意して扱わなければならない個人情報のことです。

例えば次のようなものがあります。

  • 人種、信条、社会的身分
  • 病歴、健康診断などの結果
  • 犯罪の経歴、犯罪の被害を受けた事実
  • 身体障害・知的障害・精神障害などがあること

要配慮個人情報を取得するときは、原則として本人の同意が必要です。

また、本人が反対しない限り提供できる「オプトアウト」という方法での第三者提供も認められていません。

AIの学習データに病歴などが含まれる場合は、特に慎重に扱う必要があるんですね。

なお、金融分野のガイドラインでは、要配慮個人情報に労働組合への加盟や本籍地などを加えた、さらに広い機微情報という区分もあります。

匿名加工情報と仮名加工情報の違い

匿名加工情報とは

匿名加工情報とは、特定の個人を識別できないように、また元の個人情報に戻せないように加工した情報のことです。

個人情報は、利用目的の範囲を超えて使ったり、第三者に提供したりするには、原則として本人の同意が必要でした。

でも、データを社会で活用したい場面では、毎回全員の同意を取るのは大変ですよね。

そこで、元に戻せない状態に加工すれば、本人の同意なしに第三者に提供したり、ほかの目的に使ったりできるようにしたのが匿名加工情報です。

加工の例としては、氏名を削る、生年月日を「30代」のようにまとめる、珍しい値(とても高い年収など)を丸める、といった方法があります。

同じ属性の人が必ずk人以上いるようにして、個人を特定できなくする方法をk-匿名化と言います。

仮名加工情報とは

仮名加工情報とは、ほかの情報と照らし合わせない限り特定の個人を識別できないように加工した情報のことです。2020年の改正(2022年施行)で新しくできました。

例えば、氏名を「ID001」のような記号に置き換えたデータがこれにあたります。

対応表と照らし合わせれば元に戻せるので、匿名加工情報より加工が軽く、データの細かさを残したまま分析できるのが特徴です。

その代わり、原則として第三者に提供できず、主に社内でのデータ分析やAIの開発に使います。

比べるところ 匿名加工情報 仮名加工情報
元に戻せるか 戻せない 対応表と照らし合わせれば戻せる
加工の程度 重い(データの細かさが失われやすい) 軽い(細かさを残せる)
第三者提供 本人の同意なくできる 原則できない
主な使い道 社外への提供・データの販売 社内での分析・AIの開発
できた時期 2015年の改正 2020年の改正

GDPRとは

GDPRとは、EU(欧州連合)の個人データの保護に関するルールで、EU域内の個人データを扱う世界中の企業に適用される規則です。

General Data Protection Regulation(一般データ保護規則)の略で、2018年5月に適用が始まりました。

GDPRは、日本の企業でも、EUの人の個人データを扱えば対象になります。

違反すると、全世界の売上高の4%または2,000万ユーロの高い方を上限とする、とても重い制裁金が科されることがあります。

また、本人が自分のデータの削除を求められる「忘れられる権利」や、AIなどによる自動的な判断だけで重要な決定をされない権利なども定められています。

EUの個人データは、原則としてEUの外に持ち出せませんが、EUから「十分な保護をしている」と認められた国(十分性認定)には移せます。

日本は2019年1月に十分性認定を受けています。

AIはもう大人だけのものではありません。お子さんと一緒に、生成AIの正しい使い方から学べる講座もあります。

著作権法とAI

著作権法とは、小説・音楽・絵・写真・プログラムなどの著作物と、それを作った人の権利を守る法律です。

著作物と創作性

著作物とは、思想や感情を創作的に表現したもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するもののことです。

ここで大事なのが創作性です。
創作性とは、作った人の個性が何らかの形で表れていることです。

ありふれた表現や、単なる事実やデータそのものには、創作性がないので著作物になりません。

著作権とは、著作物を作った人が持つ、その著作物を複製したり公開したりすることを独占できる権利のことです。

特許権と違って、登録の手続きをしなくても、作った時点で自動的に発生します。保護される期間は、原則として作った人が亡くなってから70年です。

著作権法30条の4(AIの学習と著作権)

AIの学習には、ネット上の文章や画像など、他人の著作物を大量に使うことがありますよね。ここで関係するのが著作権法30条の4です。

著作権法30条の4では、AIの学習(情報解析)のように、著作物の表現を楽しむことが目的ではない利用は、原則として著作権者の許可なく行えると定めています。

2018年の改正(2019年施行)で今の形になりました。日本は、世界的に見てもAIの学習がしやすい国だと言われているんですね。

ただし、何でも許されるわけではありません。「著作権者の利益を不当に害する場合」は対象外です。

例えば、特定の作家の作品だけを集めて、その作家にそっくりな作品を出力させる目的で学習させるような場合は、許されない可能性があります。

文化庁は2024年に「AIと著作権に関する考え方について」を公表して、考え方を整理しています。

AI生成物の著作権と著作権侵害

AI生成物とは、AIを使って作られた文章・画像・音楽などのことです。AI生成物については、次の2つの問題がよく議論されます。

1つ目は、AI生成物に著作権があるかです。

人が簡単な指示を出しただけでAIが自動で作ったものは、人の創作的な関わりがないので、著作物にあたらない(著作権が発生しない)と考えられています。

一方、人が細かく指示を重ねたり、生成物に手を加えたりして、人の創作性が表れていれば、その人の著作物と認められる可能性があります。

2つ目は、AI生成物がほかの人の著作物の著作権を侵害するかです。

著作権侵害とは、著作権者の許可なく、著作物を複製したり公開したりして、著作権者の権利を侵すことです。

AI生成物でも、人が作ったものと同じように、次の2つを満たすと著作権侵害になり得ます。

  • 類似性:既存の著作物と、表現が似ていること
  • 依拠性:既存の著作物をもとにして作ったこと

利用規約に注意

利用規約とは、サービスを提供する会社が、利用者との間で決めた利用のルールのことです。

生成AIのサービスでは、生成したものを商用に使ってよいか、入力したデータをサービス側が学習に使うかなどが、利用規約で決められています。

法律上は問題がなくても、利用規約に違反すると契約違反になるので、使う前に必ず確認しましょう。

会社の秘密の情報を、うっかり生成AIに入力してしまわないように注意が必要です。

オープンデータセットを使うときの注意

オープンデータセットとは、誰でも自由に使ったり、加工したり、再配布したりできるように公開されているデータの集まりのことです。

AIの練習や研究によく使われる代表的なものには、次のようなものがあります。

分野 データセット 中身
画像 MNIST 手書きの数字の画像
画像 CIFAR-10・CIFAR-100 10種類・100種類に分けられた画像
画像 ImageNet 1,400万枚以上の画像(ILSVRCの記事で解説)
動画 YouTube-8M ラベル付きのYouTube動画
音声 AudioSet 人の声や動物の鳴き声などにラベルを付けた音声
文章 青空文庫 著作権が切れた作品などの文章
総合 Kaggle、e-Stat、DATA GO JP 分析コンペのデータ、政府の統計、公共データ

ただし「オープン」でも、何に使ってもよいとは限りません。

データセットごとにライセンス(利用条件)が決められていて、「研究目的に限る」「商用利用は禁止」「出典を書くこと」などの条件がついていることがあります。

実務で使うときは、必ずライセンスを確認しましょう。

なお、会社が管理するデータを守る法律として、不正競争防止法の営業秘密と限定提供データもあります。営業秘密と限定提供データの記事で解説しています。

個人情報保護法と著作権法の早見表

現行シラバスの「個人情報保護法」と「著作権法」のキーワードは、次の表ですべて確認できます。

用語 一言でいうと 詳しい解説
GDPR EUの一般データ保護規則。2018年施行。EU域外の企業にも適用されうる この記事
仮名加工情報 他の情報と照合しない限り個人を識別できないよう加工した情報。主に社内での分析用 この記事
個人識別符号 マイナンバーや指紋データ、顔認証データなど、それ単体で個人を特定できる符号 この記事
個人データ 検索できるよう体系的にまとめた個人情報データベースを構成する個人情報 この記事
個人情報 生存する個人を特定できる情報。他の情報と簡単に照合して特定できるものも含む この記事
第三者提供 個人データを本人以外の第三者に渡すこと。原則として本人の同意が必要 この記事
匿名加工情報 特定の個人を識別できず、元に戻せないよう加工した情報。一定の条件で本人の同意なく第三者に提供できる この記事
保有個人データ 事業者が開示・訂正・削除などを行う権限を持つ個人データ この記事
要配慮個人情報 人種・信条・病歴・犯罪歴など、差別や偏見につながりうる情報。取得には原則本人の同意が必要 この記事
利用目的 個人情報を何に使うか。できる限り特定し、本人に通知または公表する必要がある この記事
委託 個人データの取り扱いを外部に任せること。第三者提供には当たらないが、委託先を監督する義務がある この記事
創作性 作り手の個性が表れていること。著作物と認められるための条件 この記事
著作物 思想や感情を創作的に表現したもの。単なるデータや事実は著作物ではない この記事
AI生成物 AIが生成したもの。人間の創作的な関与がなければ、原則として著作物に当たらないと考えられている この記事
利用規約 サービスの利用条件。生成AIの出力や入力データの扱い(権利の帰属など)を確認する必要がある この記事
著作権侵害 許可なく著作物を複製・公開すること。AI生成物が既存の著作物と似ていて(類似性)、それを元にした(依拠性)場合に問題になる この記事
著作権 著作物を作った人に自動的に発生する権利。著作権法30条の4で、AIの学習などの情報解析には原則として許諾なく利用できる この記事

よくある質問

Q. 匿名加工情報と仮名加工情報の違いは?

匿名加工情報は、元の個人情報に戻せないように加工した情報で、本人の同意なく第三者に提供できます。仮名加工情報は、ほかの情報と照らし合わせれば元に戻せる程度に加工した情報で、原則として第三者に提供できず、主に社内の分析に使います。

Q. AIの学習に他人の著作物を使ってもいい?

日本では著作権法30条の4により、AIの学習のように著作物の表現を楽しむことが目的ではない利用は、原則として著作権者の許可なく行えます。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は対象外です。また、サービスの利用規約で禁止されていないかも確認が必要です。

Q. AIが作った画像に著作権はある?

人が簡単な指示を出しただけでAIが自動で作ったものは、人の創作的な関わりがないため、著作物にあたらないと考えられています。人が細かい指示を重ねたり手を加えたりして創作性が表れていれば、著作物と認められる可能性があります。

よくある質問の内容までスラスラ答えられたら、次は問題形式で解いてみるのがおすすめです。選択肢を見比べると、どこで引っかけられるのかが分かってきます。

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まとめ

  • 個人情報は生きている個人を特定できる情報。指紋やマイナンバーなどの個人識別符号は単体でも個人情報
  • 要配慮個人情報(病歴など)は、取得に原則として本人の同意が必要
  • 匿名加工情報は元に戻せず第三者提供できる、仮名加工情報は元に戻せて主に社内の分析用
  • GDPRはEUの個人データ保護の規則(2018年適用)。日本は十分性認定を受けている
  • 著作権法30条の4でAIの学習は原則許可不要。AIが自動で作ったものは原則として著作物にあたらない

次回は、AIの開発をほかの会社に頼むときの契約(請負契約と準委任契約)と、経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」をAI開発の契約の記事で解説していきます。

G検定の試験範囲をまとめて見直したい方は、シラバスの全キーワードを一行でまとめたG検定チートシートをどうぞ。分野ごとに読み進めたい方はG検定の解説記事一覧からどうぞ。

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りけーこっとん
小学生と関わり始めて、10年。最初は学童アルバイト、現在は小学生向けにプログラミングを教えています!日々、小学生のプログラミングに関する情報の発信をしています。小学生のお子さんがいて、プログラミングに興味のある親御さん・お子さん必見です!