営業秘密の3要件とは?限定提供データとの違い・特許法・独占禁止法
どーも、りけーこっとんです。
「営業秘密と限定提供データ、どっちも会社のデータを守るものだけど何が違うの?」「AIの発明って特許になるの?」
このような、G検定の法律の範囲で迷っている方はいないでしょうか?
この記事では、AIやデータを守る法律のうち、個人情報保護法と著作権法以外の3つを解説します。
会社の大事なデータを守る不正競争防止法(営業秘密・限定提供データ)、発明を守る特許法、そして公正な競争を守る独占禁止法です。G
検定では「どの法律で、どんな条件なら守られるか」がよく問われるので、比べながら整理しました。
(2026年10月更新:G検定の現行シラバス(2024年第6回から適用)に合わせて内容を見直しました。)
この記事の要点
- 営業秘密の3要件は、秘密管理性・有用性・非公知性の3つ
- 限定提供データは、特定の相手に提供するために、IDやパスワードで管理しながらためた大量のデータ
- 特許法で守られる発明には、新規性・進歩性などが必要で、権利は出願から20年。AIは発明者になれない
- 独占禁止法は、データの囲い込みなどで市場の競争を不当に制限することを禁止している
手元に公式テキストが1冊あると、この記事で扱う用語をシラバスの言葉づかいのまま確かめられます。
深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版
JDLA(日本ディープラーニング協会)監修の公式テキスト。用語の意味を正確に確かめたいときの辞書がわりになります。
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この記事は、現行シラバスでは第9章「特許法」「不正競争防止法」「独占禁止法」の範囲です(シラバスはJDLAの公式ページで確認できます)。G検定の範囲全体を一覧で見たい方はG検定チートシートもどうぞ。
この記事では、文字の装飾を次の3段階にそろえています。試験直前は赤太字だけ拾い読みしても要点がつかめます。
- 赤太字(超重要):試験で正解を決める決め手。年号・人物・数字・違いのポイント
- 青色マーカー+太字(重要):用語の定義。「〇〇とは」の一文
- 太字(覚えておきたい):あわせて覚えたい関連用語や覚え方
不正競争防止法とは
不正競争防止法とは、ほかの会社の秘密の情報を盗むなどの「不正な競争」を禁止して、公正な競争を守るための法律です。
AIの開発では、学習用のデータや学習済みモデル、開発のノウハウなどが、会社にとって大切な財産になりますよね。
ところが、データそのものは著作物にならないことが多く、著作権法では守りにくいんです(著作権の記事で解説しています)。
そこで、データを守る方法として使われるのが、不正競争防止法の営業秘密と限定提供データです。
どちらかに当たれば、データを盗まれたり不正に使われたりしたときに、使うのをやめるよう求めたり(差止請求)、損害賠償を求めたりできます。
営業秘密の3要件とは
営業秘密とは、会社が秘密として管理している、事業に役立つ情報のうち、まだ世の中に知られていないもののことです。
例えば、顧客の名簿や製品の設計図、製造のノウハウ、AIの学習データなどが当てはまります。
営業秘密として守られるには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 秘密管理性 | 秘密として管理されていること | 「社外秘」の表示、アクセスできる人の制限、パスワードでの管理 |
| 有用性 | 事業に役立つ情報であること | 製造方法、顧客名簿、学習データ(失敗した実験のデータも含む) |
| 非公知性 | 世の中に知られていないこと | インターネットや本で、誰でも手に入れられる状態ではない |
特に大事なのが秘密管理性です。
会社の中で「これは秘密だ」と思っているだけでは足りず、社員から見ても秘密だと分かるように管理していること(秘密管理の意思が伝わること)が必要なんですね。
資料に「社外秘」と書く、保管場所に鍵をかける、アクセスできる人を限る、といった管理が求められます。
限定提供データとは(営業秘密との違い)
限定提供データとは、特定の相手に提供するために、IDやパスワードなどで管理しながら、電子的に大量にためているデータのことです。
2018年の改正で新しく作られた仕組みで、2019年7月から使われています。
営業秘密は「秘密にしている情報」を守るものでした。でも、データの中には、ほかの会社に有料で提供するなど、秘密にはしていないけれど守りたいデータもありますよね。
例えば、車の走行データや気象データ、商品の購買データを、契約した会社だけに提供する場合です。
こうしたデータを守るために作られたのが、限定提供データです。
限定提供データにも、次の3つの要件があります。
| 要件 | 意味 |
|---|---|
| 限定提供性 | 業として、特定の相手に提供するデータであること |
| 相当蓄積性 | 電子的な方法で、相当な量がためられていること |
| 電磁的管理性 | IDやパスワードなどで、アクセスが管理されていること |
なお、誰でも無料で使えるように公開されているオープンデータは対象外です。
また、営業秘密に当たるデータは、営業秘密として守られます。
| 比べるところ | 営業秘密 | 限定提供データ |
|---|---|---|
| どんな情報か | 秘密にしている情報 | 特定の相手に提供するデータ |
| 管理の方法 | 秘密として管理する | IDやパスワードで管理する |
| 世の中に知られているか | 知られていない(非公知性) | 提供先には知られている |
| 例 | 製造のノウハウ、顧客名簿 | 有料で提供するデータセット |
データベースの著作物とは
データベースの著作物とは、情報の選び方や、検索しやすい体系的な組み立て方に創作性があるデータベースのことで、著作物として著作権法で守られます。
1つ1つのデータ(数値や事実)は著作物になりません。でも、データの選び方や整理の仕方に工夫がある場合は、データベース全体が著作物になるんですね。
ただし、データを単に集めて並べただけのものは対象になりません。データを守る方法をまとめると、次のようになります。
| 守る方法 | 法律 | 守られるもの |
|---|---|---|
| データベースの著作物 | 著作権法 | 選び方・組み立て方に創作性があるデータベース |
| 営業秘密 | 不正競争防止法 | 秘密として管理している情報 |
| 限定提供データ | 不正競争防止法 | 特定の相手に提供するために管理しているデータ |
| 契約 | 民法など | 当事者どうしで決めたデータの使い方 |
個人データについては、EUのGDPRと、EUから日本が受けている十分性認定も大切です。個人情報保護法とGDPRの記事で解説しています。
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特許法とAI
特許法とは、新しい発明をした人に、一定の期間その発明を独占して使える権利(特許権)を与えて、発明を守り、産業の発展につなげるための法律です。
発明・新規性・進歩性
特許法での発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」のことです。
少し難しいですが、自然の法則を使った、新しい技術のアイデアと考えればOKです。
AIの分野では、学習済みモデルを使った新しい仕組みなども、プログラムの発明として特許になることがあります。
発明が特許を受けるには、主に次の要件が必要です。
| 要件 | 意味 |
|---|---|
| 産業上利用可能性 | 産業で使える発明であること |
| 新規性 | 出願する前に、世の中に知られていないこと |
| 進歩性 | その分野の専門家が、簡単には思いつけないこと |
新規性は「新しいか」、進歩性は「簡単に思いつけないか」を見ています。G検定ではこの2つの違いがよく問われます。
また、特許は同じ発明なら先に出願した人に与えられ(先願主義)、出願から1年6か月たつと、その内容が公開されます(出願公開)。
発明者と職務発明
発明者とは、発明を実際に生み出した人のことで、日本の特許法では人(自然人)に限られます。
AIが自分で生み出した発明について、AIを発明者として出願した「DABUS(ダバス)」という例があります。
日本の裁判所(2024年に東京地裁、2025年に知財高裁)は、AIは発明者になれないと判断しました。AIを道具として使って人が発明した場合は、その人が発明者になります。
職務発明とは、会社の従業員が、仕事として行った発明のことです。
会社の決まり(就業規則や契約)で前もって決めておけば、特許を受ける権利をはじめから会社のものにできます。
その代わり、発明した従業員は、会社から相当の利益(お金など)を受け取る権利があります。
特許権と知的財産権(著作権との違い)
特許権とは、特許を受けた発明を、仕事として(業として)独占して使える権利のことです。
ほかの人が勝手にその発明を使うと、特許権の侵害になります。
特許権は、特許庁に出願して審査を受け、登録して初めて発生します。権利の期間は、原則として出願から20年です。
知的財産権とは、発明や作品、デザイン、ブランドなど、人の知的な活動から生まれたものを守る権利をまとめた呼び方です。
特許権・実用新案権・意匠権・商標権(この4つを産業財産権と言います)や、著作権などがあります。特許権と著作権の違いを比べてみましょう。
| 比べるところ | 特許権 | 著作権 |
|---|---|---|
| 守るもの | 発明(技術のアイデア) | 著作物(思想や感情の表現) |
| 権利の発生 | 出願・審査・登録が必要 | 作った時点で自動的に発生 |
| 期間 | 出願から20年 | 作った人の死後70年 |
独占禁止法とAI|競争制限と公正競争阻害性
独占禁止法とは、会社どうしの公正で自由な競争を守るために、市場の独占やカルテル、不公正な取引などを禁止する法律です。
公正取引委員会が運用しています。
AIやデータの分野では、大量のデータを持つ巨大なプラットフォーム企業が、データを独り占めして競争相手を締め出すことが心配されています。
データがたくさん集まるほどAIの性能が上がり、さらに利用者が集まる、という仕組みがあるからですね。
競争制限とは、市場で会社どうしが競い合う状態を減らしたり、なくしたりすることです。
ほかの会社と示し合わせて価格を決めること(カルテル)や、データを囲い込んでほかの会社が市場に入れないようにすることなどが当たります。
最近では、AIのアルゴリズムどうしが価格を自動で合わせてしまう問題も議論されています。
公正競争阻害性とは、ある取引のやり方が、公正な競争を妨げるおそれがあることです。「不公正な取引方法」に当たるかを判断するときの基準になります。
例えば、強い立場の会社が、取引相手に不当にデータの提供を強いることは、優越的地位の濫用として問題になることがあります。
特許法・不正競争防止法・独占禁止法の早見表
現行シラバスの「特許法」「不正競争防止法」「独占禁止法」のキーワードは、次の表で確認できます。
| 用語 | 一言でいうと | 詳しい解説 |
|---|---|---|
| 発明 | 自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの。特許の対象 | この記事 |
| 新規性 | その発明がまだ世の中に知られていないこと。特許の要件 | この記事 |
| 進歩性 | その分野の専門家でも簡単には思いつけないこと。特許の要件 | この記事 |
| 知的財産権 | 特許権・著作権・商標権など、知的な創作物を守る権利の総称 | この記事 |
| 発明者 | 発明をした人。日本では自然人(人間)に限られ、AIは発明者になれないとされている | この記事 |
| 職務発明 | 従業員が仕事として行った発明。会社が特許を受ける権利を取得できる場合がある | この記事 |
| 特許権 | 発明を一定期間(原則出願から20年)独占的に実施できる権利。出願と登録が必要 | この記事 |
| 営業秘密 | 秘密管理性・有用性・非公知性の3つを満たす情報。不正競争防止法で保護される | この記事 |
| 限定提供データ | 特定の相手に提供するため電子的に管理・蓄積したデータ。2018年の不正競争防止法改正で新設 | この記事 |
| 競争制限 | 事業者同士の協調などにより、市場での競争が弱められること | この記事 |
| 公正競争阻害性 | 公正な競争を妨げるおそれがあること。不公正な取引方法の判断基準 | この記事 |
よくある質問
Q. 営業秘密と限定提供データの違いは?
営業秘密は、秘密として管理している、世の中に知られていない事業に役立つ情報です。限定提供データは、特定の相手に提供するために、IDやパスワードで管理しながら大量にためているデータです。
秘密にしているかどうかが大きな違いです。
Q. AIは発明者になれますか?
日本の特許法では、発明者は人(自然人)に限られるため、AIは発明者になれません。
AIを発明者とした出願(DABUS)について、日本の裁判所もそう判断しています。
AIを道具として使って人が発明した場合は、その人が発明者になります。
Q. 特許権と著作権の違いは?
特許権は発明(技術のアイデア)を守る権利で、出願して登録されて初めて発生し、期間は出願から20年です。
著作権は著作物(表現)を守る権利で、作った時点で自動的に発生し、期間は原則として作った人の死後70年です。
よくある質問の内容までスラスラ答えられたら、次は問題形式で解いてみるのがおすすめです。選択肢を見比べると、どこで引っかけられるのかが分かってきます。
徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集 第3版
分野ごとの問題と解説がまとまった問題集。記事で覚えた用語を、本番と同じ選択式で解いて確かめられます。
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まとめ
- 不正競争防止法は、営業秘密と限定提供データで会社のデータを守る
- 営業秘密の3要件は、秘密管理性・有用性・非公知性
- 限定提供データは、特定の相手に提供するために、IDやパスワードで管理してためた大量のデータ(2018年改正)
- 特許には新規性・進歩性などが必要。権利は登録で発生し、出願から20年。AIは発明者になれない
- 独占禁止法は、競争制限や公正競争阻害性のある行為(データの囲い込みなど)を禁止する
次回は、AIの公平性(アルゴリズムバイアス)や安全性(Adversarial Examples)、ディープフェイクといったAIのリスクをアルゴリズムバイアスの記事で解説していきます。
G検定の試験範囲をまとめて見直したい方は、シラバスの全キーワードを一行でまとめたG検定チートシートをどうぞ。分野ごとに読み進めたい方はG検定の解説記事一覧からどうぞ。
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